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シャボン玉石けん株式会社 無添加石けん40周年記念特別対談

健康な体と環境を守る、それは「私」を大切にすること。

「坂本オペラ」から15年、
シャボン玉石けんと坂本龍一は再び出会った。
時代が移り、私たちを取り巻く環境問題も、考え方も少しずつ変化を遂げた15年。
シャボン玉石けんが、合成洗剤の販売をやめて無添加石けんの製造・販売を開始して40周年目となる今年。
「健康や環境を守る」とは、何をすることなのか。
誠実にその課題と向き合ってきた2人に、率直に語り合ってもらった。

自分を大切にエコはエゴからでいい

坂本 龍一さん

1952年東京都生まれ。東京芸術大学大学院修士課程修了。78年イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)を結成。88年アカデミー賞作曲賞を受賞。音楽活動のかたわら、森林保全と植林を提唱するmore trees を設立するなど、環境問題への積極的な取り組みや、東日本大震災の支援や原発・核廃絶など社会問題への提言も続けている。ニューヨーク在住。

坂本 龍一さん

人にも自然にもやさしい企業であり続ける

森田 隼人

1976年福岡県生まれ。専修大学経営学部経営学科卒業後、2000年シャボン玉石けん(株)入社。問屋や百貨店などへの営業および商品開発を担当。
02年取締役副社長。07年3月から現職。
シャボン玉販売(株)、(株)シャボン玉本舗、(有)シャボン玉企画の代表取締役社長を兼任。

シャボン玉石けん株式会社 代表取締役社長 森田 隼人さん
15年前の「坂本オペラ」が初めての出会い

坂本:僕がシャボン玉石けんを知ったきっかけは、一通のファンレターでした。もう15年も前になるのですね。環境問題がテーマのオペラを手がけている時、「環境に配慮した無添加の石けんがあります」と記した手紙を見て、石けんはみな同じだと思っていた僕は衝撃を受けました。さっそく、その石けんの開発者である先代の森田光德社長、つまり森田隼人社長のお父さんの著書『自然流「せっけん」読本』を読んで感銘を受けました。

森田:それから、「共生」をテーマにした「坂本オペラ1999」の特別協賛で当社がご一緒させていただきました。まだ学生だった私もステージを拝見しましたが、理解するのは正直言って難しかった。

坂本:あのオペラの内容は難しいので、ほとんどの人が分からなかったと思いますよ(笑)。まだまだ環境問題は人々の意識にのぼっていなかった。でも、40年も前から、先代の森田社長は「人が環境を破壊することなく共に生きる」という課題の実現に心血を注いでいらっしゃった。

森田:父は、自分の体に湿疹ができてしまったという体験から、ドル箱だった売れ筋の合成洗剤事業から撤退し、肌に安心なのは石けんだけだと確信して製造・販売を始めました。私が生まれる2年ほど前です。当時は世の中に石けんの良さを知ってもらうことは非常に難しかったようです。それで、私が高校生くらいの時期に、父は、坂本さんも読んでくださった『自然流「せっけん」読本』を書いていたのですね。ワープロで打ったおびただしい原稿の裏紙が、たまたま私の学習用紙だった。勉強に飽きてひっくり返してみると、合成洗剤が人体や環境に与える悪影響について、さらに、石けんの安全性を必死で伝えようとする内容が克明に書かれていたのです。その時に私は、父の使命感や覚悟を知りました。

石けんへのこだわりは環境問題につながった

坂本:合成洗剤は自然に分解されないから、生態系に悪い影響を与えるといわれていますね。でも、石けんはすでに何千年も前から、例えば文明と接触していないようなインディオの部族でも使っていた自然なものです。

森田:石けんの起源は約1万年前、動物を焼いた時の油と、燃やした時の灰で石けんのようなものができたと言われています。当社で作っている石けんも基本的には同じです。油はパーム油や米ぬか油、オリーブ油、牛脂など。そこにアルカリを混ぜて釜の中で炊き込み、下から蒸気を入れて撹拌し一週間。そして、職人がドロドロの石けんを舐めその日の温度や油の状態によって微調整をします。当社ではみんな石けんを舐めることに抵抗がない(笑)。

坂本:40年間、ずっとその製法は変わらないのですか。

森田:ええ、変わらないです。時間を短縮しようと思えば4、5時間で作る製法もあるのですが、それにはどうしても添加物が必要です。シャボン玉石けんは、100%無添加でなければならないですから。

坂本:僕もシャボン玉石けんを15年間ずっと安心して使っていますよ。

森田:川や海に流れても、短期間で水と二酸化炭素に分解されてしまいます。石けんカスは微生物の栄養源になり、最終的には魚のエサになります。成分のところに表記してあるのは「石ケン素地」という一行だけ。それ以外、余計な成分は全く入っていません。手間ひまかけて作るのでコストはかさみますが、製造方法や余計な添加物を使わない点については、これから先も妥協することは一切しません。だからこそ世界を見回しても他に例がないといわれます(笑)。

坂本:アメリカのように先進国であっても国民皆保険制度が根づいていない国は、健康を気遣う人が圧倒的に多いのです。そして環境への配慮意識も高くなっている。ここまでこだわった素晴らしい石けんがあることを、日本だけでなくできれば世界へ伝えたいと思いますね。

自分や家族の健康から不安を除くためのエコ

坂本:エコとか環境問題って個人から始まるものだと思っています。そもそも僕がなぜ関心を持ち始めたかというと、40歳を過ぎた頃からガクッと体力が落ちたから(笑)。お酒は飲むわ、夜は寝ないわ、仕事はバリバリだったのにね。その時に初めて、自分が口にする物、周りのこと、一言でいえば環境を生まれて初めて自覚した。自分の体の変化がそれを気付かせてくれたわけで、そういう意味では森田社長のお父さんと共通しているかもしれないです。

森田:確かに父も合成洗剤と石けんの差を、まさに自分の体で実感しましたから。

坂本:自分の体と環境というのはいったいどんな関係なんだと思って、僕は必死になって本を読み出しました。だから「僕のエコはエゴだ」と言っている。地球とか、どこかの環境とか、遠いところの話は自分とのつながりが意識しにくいけれど、自分や子どもたちが健康でいたい、おいしいものを食べ、安全な水を飲みたいということですよね。

森田:「エコはエゴ」から始めればいいというご意見は、とても納得がいきます。当社には毎日、お客様から多くのご感想などが届きますが、過敏な肌荒れなどへの、やはりご自分の切実な悩みや不安から商品へお問い合わせいただくことが最も多いですね。これだけ情報があふれているからこそ、正しい情報を取捨選択してほしいと思わずにはいられません。

坂本:若い人が自動車に乗らなくなった、テレビも買わなくなったという。サラリーマンがバックパックを背負って自転車通勤をする。ゆっくりと意識が変わってきているかもしれない。20世紀の文明とはちがって、安心できるていねいな暮らしがやっぱり心地いいじゃないですか。僕の住むニューヨークでは、電気会社と契約して、送電してもらう種類を「風力」「火力」「太陽光」、あるいは複合型などの中から選べるのですが、風や光などの自然が作った電気を使っているというのは気持ちがいい。いつも自分の足元から、自分の感覚から感じていく、動いていく。そもそも僕たちも自然物ですからね、それを大事にしたい。

法人は、人格と同じ正直な取り組みを

森田:父から受け継いだ事業ですけれど、会社を経営することと同時に、けっして当社の石けんを絶やしてはならないという責任も年々強く感じています。「家族で毎日使っています」「安心して子どもに使える石けんがやっと見つかった」とお礼の手紙をいただくたびに、企業として安心・安全な商品を届け続ける使命を感じます。

坂本:そうですね。シャボン玉石けんのように、安心・安全な商品を作る企業にはずっとそれを供給してほしいと願いますよね。企業を法人と言いますが、要するに、人と同じように人格があるとみなされる。高潔な責任感を持つ企業への信頼は大きいです。逆に例えば今、これだけインターネットが普及してくると、テレビなどで派手に「地球にやさしい」なんてかっこいいCMを流しても、地球のどこかで環境に悪い素材を使ったり、児童労働を隠したりしている企業があれば、誰かがそれを見つけてインターネットに流し、世界の消費者に伝わります。正直にやらなくてはならないと、企業はまず知っておくべきでしょう。市民の声とか、消費者の思いが力を持つ時代になったのです。

森田:お客様と自分たちとを同じ消費者と考えることが大事ですね。当社の従業員も、自分の肌のことや子どもへの安全などには本当に敏感です。毎日の仕事の先に、同じ思いを抱えるお客様がいるという気持ちを忘れないでいる。河川や湖沼、海の汚染などの一番の原因は「家庭排水」です。そして自然を汚す洗剤が人間によいはずがない。当社は、40年前から確信し、いち早く環境にも人にもやさしい無添加石けん作りに取り組んできました。理解されなかった長い年月も、企業の存続を賭けて闘った。その真剣さはお客様に伝わりました。環境と健康によいものを送り出す責任は企業にあり、環境問題のリーダーでなくてはなりません。私たちは「自然と共生する生活」を届ける会社であり続けます。

坂本龍一・オペラ「LIFE」とは

1999年、坂本龍一氏が人と環境との「共生」をテーマに創作・上演したオペラ「L I F E」。このテーマに共鳴したシャボン玉石けん株式会社は、このオペラへ特別協賛をした。坂本氏はそもそも「共生」とは何かを求めてモンゴルの地へ赴き、その草原で人々がどのような生き方をしているのか確かめたという。家畜が草を食べ、そのフンがバクテリアに分解されて土壌を肥やし、また草が生える。人間と家畜とバクテリアが共生している。だがそこはわずかな草しか生えない貧しい草原で、草そのものを人間が食べては生きられない。家畜に草を食べさせ、その肉を利用するぎりぎりの「共生」。地球もこういうぎりぎりの「共生」を続けており、欠けていいものは一つもないこと、自然の一部である人間が、人間中心に自然を語ってはならないことを訴えたという。
オペラ「L I F E」では、電子メディアで構成された巨大なスクリーンに、インターネットで外部とつながったネットワークやマルチメディアを駆使して制作された映像が映し出され、ダンサー、世界各地から参加した歌手やオーケストラ、合唱隊などと共にシンセサイザーを駆使した音楽、ビジュアル作品などを用いた前衛的なステージが出現した。このオペラ「L I F E 」の発表後、環境問題や平和、反核に言及することが増えていき、地雷除去活動の支援などに音楽家たちの参加が始まる。坂本氏の新たな取り組みが世に知られた作品である。(オペラ「LIFE」は、日本武道館〈1999 年9 月9日~12 日〉と大阪城ホール〈1999 年9 月4 日・5 日〉で開催された)

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