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日本の住宅事情―「友の会だより」No.112号より―

日本の住宅事情―「友の会だより」No.112号より―
 荀悦じゅんえつの「申艦しんかん」(十八史略 林 繁之著)に「国に四つの大きな患がある」という戒めの言葉があります。
 その第一は「偽」。真実を偽ることであり、「偽」が「にんべん」に為で作られて「うそ」というのも人間として考えさせられ、反省を要するところといえます。第二は「私」。これは何事も自分本位、利己主義をいいます。第三は「放」。放埓ほうらつをいいます。他を考えず勝手気ままな振る舞いのことです。第四に「奢」ですが、これはおごり、奢侈しゃしになることです。分限を超えた欲望を満たす思い上がりをいいます。
 偽・私・放・奢の「四患」が国に瀰漫びまんすると、国は滅びるほかはないと戒めています。人間生活もまた同様です。これは、漢末の荀悦の言葉ですが、昨今の政・官の現状や企業の不祥事を見るにつけ、「四患」の重患にあえいでいると思わずにはいられないのは私だけでしょうか。
 さて話は変わりますが、皆さんは、日本の住宅の平均的な寿命が、どれくらいなのかご存知でしょうか。
 一九九六年の建設白書によると、平均寿命はわずかに二十六年なのです。二十年以上前に建てられた団地を見ますと確かに、建設白書の平均寿命は本当のようです。
 他の国の状況を見ますと、アメリカで四十四年、イギリスでは七十五年。「日本の約二倍」の平均寿命があるそうです。
 日本住宅の寿命は、なぜこんなに短いのでしょうか、昔からこうなのでしょうか、いえ長かったはずです。江戸時代に建てられた建物は(商家、農家、武家屋敷、神社仏閣など)百年以上たった現在でも十分使用されていますし、すばらしい建物も数多く残っています。
 日本の住宅がこんなに弱くなってしまった、その原因を教えてくださったのが、去年の九月に工場見学に来社された㈱無添加住宅の秋田憲司社長です。
 住宅の寿命を縮める一番の原因は、秋田社長によると、約六十年前に開発された「合成接着剤」なのだそうです。合成接着剤は床、壁、天井、建具、設備など全てに使用されている化学物質です。その有効期限がなんと二十年しかないのです。これでは有効期限が切れたら住宅も改築をしなければ住めなくなるのも頷けます。
 合成接着剤の問題はこれだけではありません。使用されている成分からホルムアルデヒド等の有害物質が放出され、シックハウス症候群や化学物質過敏症の原因になっています。
 秋田社長の話を聞いた時、住宅問題と合成洗剤問題はどこかで繋がっているように感じました。石油化学を中心とした産業革命が昭和三十年代に急速に始まり、政府や大手資本は積極的に「大量生産、大量消費」を推進した結果がこのような原因をつくったのではないでしょうか。確かに経済は発展し、国民も潤いましたが、そのつけが今、現れてきたのでしょう。
 秋田社長は「百年もつ、本物の住宅を安価で提供できるようにがんばっているのに、政府の規制や業界からの嫌がらせもあり、苦戦している」とのことでした。
 弊社会長、故森田光徳が三十三年間、合成洗剤追放運動で味わってきた苦い経験を秋田社長は今、住宅問題で味わっているのかもしれません。
専務取締役 高橋 道夫

―「友の会だより」No.112号より抜粋―