Dialogue Corner

シャボン玉石けん株式会社 代表取締役社長 森田隼人× ナグモクリニック総院長 南雲 吉則先生

これまで、患者さんは術後の傷口をとんでもないもので洗っていたのかもしれない…そんな想いから、直接無添加石けんをお渡しし、体感していただくことにしました。

ナグモクリニック総院長
医学博士

南雲 吉則先生

1955年、東京生まれ。
東京慈恵会医科大学卒業。東京女子医科大学形成外科、癌研究会付属病院外科医、東京慈恵会医科大学第一外科乳腺外来医長を経て、医療法人社団ナグモ会『ナグモクリニック』開設。東京慈恵会医科大学外科学第一講座非常勤講師、韓国東亜医科大学、中国大連医科大学客員教授、日本乳癌学会専門医としても活躍。テレビなど多数出演。

森田 先生は、著書の中でもまた患者さんにも弊社の商品をお薦めしてくださっているそうですが、何がきっかけだったんでしょうか。

南雲 シャンプーやボディソープなど各メーカーさんから、それこそ販売できるほど(笑)頂くんですね。以前は、ヘアクリームやワックスを髪につけていたので、脂汚れをしっかり落とせるシャンプーが良いシャンプーだと思っていました。しかし、そういうシャンプーを使うと、髪がぱさぱさするから、リンスもしなくっちゃならなくなるわけです。リンスって髪に栄養を与えてくれるものだとずっと信じて使っていました。ところがリンスって、痛んだ髪をコーティングしているだけだったんですよ。そしてシリコンは、粘着力が高くてホコリやアレルギー物質を付着させるから、皮膚が荒れる。それで皮膚科に行くとステロイドを処方され、皮膚全体が荒れて粉をふいたようになり、フケだらけで髪も薄くなってきた。そこでまず、ワックスをやめて強力なシャンプーを使わなくていいようにしました。お湯で洗い流すだけにしたら、ずいぶん皮膚がよくなって、洗えば洗うほど皮膚を荒らしていたんだということがわかりました。
でも、テレビ出演の時など、どうしてもワックスを使わざるを得なくて、困った、という頃でしたね。健康関連のイベントでシャボン玉石けんさんから、サンプルと『自然流「石けん」読本』という先代社長の本を頂き、この本でこれまでの疑問が一気に解決したんです。「これだ!」と思って、使ってみたらすごく快適!やっとわかりました。

森田 もともと、化学物質を使ったものに疑問をお持ちだったんですね。この本で、気づいた!という方は確かに多いんです。

南雲 体感的に、おかしい、とは思っていました。「オレンジ成分配合」「自然派」「オーガニック」「手に優しい」などの触れ込みのものをとっかえひっかえ使ってみても、どれもこれも指先がぴりぴりする。何がいけないのかわからなかったんだけど、この本を読んで、やっと原因がわかった。そこに書かれていた、人体に危険な成分がすべて入っていたわけですから……。自分の体は正しい反応をしていただけなんだと。皮膚は保護膜・皮脂・善玉菌など、外界の攻撃から体を守る性能を元来持ちあわせています。それを強力に引き剥がすわけですから、荒れないようにと高価なクリームをセットで売る。化粧品会社っていうのはそういう戦略なんですから。ぴりぴりして当然だったわけです。
本に書かれているリストを見ながら家中をチェックしてみました。すると危険な合成洗剤が洗顔、洗濯、食器洗い、はみがき、シャンプー、リンス……、あっちにもこっちにも入っていてびっくりしてすべて切り替えました。

森田 ご自身で体感されたからこそ、ですね。弊社は無添加石けんに切り替えてから 年間赤字が続きました。そんな中ずっと支えてくださったのは体感されたお客様でした。

南雲 手術の時はもちろんのこと医療従事者は感染対策のため常に手を洗っています。ですから、皮膚がぼろぼろという人が多いんです。その傷口をさらに合成洗剤で洗うから治らないのだろうと思い、ノロウィルスを不活化するというバブルガードを手術前の手洗いにも導入しました。
当院では毎日2~3件の乳がんや乳房再建の手術をしています。その患者さんの傷を何で洗ったらいいのか、ということにも思いいたりました。血流が悪くなって薄皮がむけている傷口に、僕の指がぴりぴりするようなもので洗っていいのか。もしかしてこれはとんでもないもので傷口を洗っているのではないか、と。現在、患者さんに合成洗剤と石けんの違いなど解説されているシャボン玉石けんハンドブック、浴用石けん、せっけんハミガキのサンプルをお配りしているんです。これなら傷口を洗っても大丈夫だから、普段の生活からこれで洗ってくださいと。

森田 ブルガードは広島大学の先生と、ウイルスを不活化する油脂の組成を発見することができ誕生しました。患者さんもドクターから薦められると信頼されますね。

南雲 みなさん、健康に対しては関心が高く、すぐにいろんなものに飛びつくけど、すぐに飽きてしまうんです。でも、長続きしないものは本物ではない。医学的な立場から申し上げますと、何かひとつ取り入れたところで日頃の不摂生のすべて補うものは存在しないんです。何を取り入れるかよりも何をやめるかを考えてほしいんです。おいしくて栄養価の高いものがよい食べ物と言われ、フォアグラみたいに不自然に太らせたもの、魚の子や木の芽のようにこれから命になるものを美味珍味だと食べて喜んでいる。そのことが栄養バランスを崩すことになっているんです。同じように、今までいい洗剤というのは、少量でよく落ちるもの、泡立ちがいいものと思われてきました。しかし、泡立ちがいい、ということは、川や海に流れても泡が消えないということで、肌に触れてもちょっとやそっとでは落ちないものが含まれている、ということなんです。

森田 一滴でこんなに油が落ちる!とCMされているような洗剤とは違い、石けんは、汚れの程度に合わせた量が必要です。利便性という意味では手間はかかります。しかしながら正しい使い方をすれば合成洗剤と同等、もしくはそれ以上に汚れは落ちます。またわたくしどもの石けんは、排水されても短期間で生分解され、小魚や微生物のえさになります。
すすぎが一回でいい、というものも要注意です。環境に配慮されている、節水など好印象のように感じられるかもしれませんが、すすぎ一回では泡が立たなくなったというだけで、実は洗剤の成分はしっかり残留しているのです。この衣類に残った洗剤成分が、汗などを介して肌へと浸透していき、肌荒れなどの原因となります。下着や衣類はほぼ一日中身につけていますので、シャンプーや洗顔以上に、洗濯洗剤が肌に与えるダメージは影響が大きいと思いますね。

南雲 CMの影響は大きいですね。いつまでも香りの消えない洗剤などが出回っているけれど、それは、衣類に合成洗剤が残留しているということです。洗剤に色をつけたり香りをつけたりする必要があるのかどうか、から考えてほしいと思います。石けんは、匂いがしない。それが自然ということだと。しかし、最近は合成洗剤でも無添加と書かれているものもありますね。

森田 中身がいくら環境に悪くても、詰め替えボトルがあるからエコ商品と言えてしまったり、いろいろ添加物が入っている合成洗剤でも、着色料無添加、と書いてある。着色料は小さい文字で、無添加は大きい文字で。
無添加、という表示には規制がきちんとされていないのです。添加していないものは何かを明記すれば、「無添加」と謳うことができます。だから主成分は合成界面活性剤であっても、「○○」無添加と表示できてしまいます。何が無添加なのか、主成分は何なのか、裏面の成分表示までしっかりと見ていただきたいですし、その上で商品を購入していただきたいと思っています。

南雲 なるほど。無農薬という表示には、農薬も化学肥料も使ってはならないという規制がありますが、食品の表示とは異なるんですね。虫がついている野菜は売れないから農薬を使う。農薬で土壌の微生物が死んで、栄養のない土になるから化学肥料を使って育てる。それは、合成洗剤によって肌荒れを起こすので、何万円もするようなクリームが売れる。シャンプーで髪をいためるのでリンスが売れる、という悪循環とそっくりです。
以前は、環境と医療に繋がりがあろうなど思ってもいませんでした。農薬や化学肥料漬けのものは食べたくないということは、わりと早くに気が付いたんですが、体内環境と自然環境が密接な関係にあると気付いたのはつい最近のことです。合成洗剤で体を洗っているとは思いもよりませんでした。

森田 そうですね。一人でも多くの方に早く気づいていただきたいと思います。

南雲 マスメディアやCMから発信されるイメージに惑わされず、体感で選ぶことが大切です。自分がすぐできることとして、患者さんに石けんを直接お渡しし、使って体感していただけることから始めたわけです。
子どもや動物は、体に悪いものは正常な反応としてすぐに吐き出すんですが、大人はイメージにだまされて使ってしまう。
この友の会だよりの読者のみなさんは、シャボン玉石けんのよさを一番よくわかっている人たち。これが広まらなければ合成洗剤はなくならないし、世の中の人は悩み続け、悪循環を繰り返す。ご自身の体感した幸せな感じをぜひ広めてほしいですね。たとえば、シャボン玉石けんのシェアが現在1ケタとか数%とすると、残りの90%以上の人はそれを知らないということになる。本来は、どこの洗剤売り場にいってもこの製品がないとだめ、「ないんだけど、どうなっているの?」とお客さんが言うようにならないと、と思います。

森田 そうですね。弊社が合成洗剤で月商8000万あったのに、それをやめて石けん一本にしたときに月商78万、わずか1%に減りました。従業員の反対もありましたが、それでも78万円求めているお客様がいらっしゃる、途中でやめるわけにはいかないと。
まだまだどこでもご購入いただける状況ではありませんので、もっと多くの店舗で取り扱っていただけるように努めて参ります。
消費者の方も環境にやさしい商品への意識は高まりましたが、よくない商品でも環境に悪いとはどこにも書いていないんですよね。関心は高くても、イメージなどでだまされやすい環境にある。正しい情報を得るのも情報がありすぎて難しい時代です。そんな中で、南雲先生の著書のようにわかりやすく訴えかけてくださるのは大きな後押しです。今後ともよろしくお願いいたします。今日は本当にありがとうございました。