Interview Corner

シャボン玉石けん株式会社 代表取締役社長 森田隼人× 宗像大社宮司 葦津 敬之さん

自然を敬ってきた日本の心 その心を次世代に繋ぐ。環境問題へのグローバチャレンジ

宗像大社宮司

葦津 敬之さん

昭和37年11月福岡市箱崎生まれ。
昭和60年皇學館大學を卒業後、同年熱田神宮に奉職。同62年神社本庁に奉職。平成8年主事。総務課長、惰報管理課長、教学課長、国際課長、同21年参事、財務部長、広報部長を経て、平成24年4月に宗像大社に奉職。同25年権宮司昇任、同27年6月宮司昇任、現在に至る。ライフワークは自然環境問題。

森田 このたびは、世界文化遺産登録おめでとうございます。今年5月の段階では一部登録勧告という苦境に置かれ、国際的な理解を得ることの難しさを感じました。一括登録を目指し、7月に日本が推薦していた8つの構成資産すべてが「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」として世界遺産に登録され安堵しています。宮司はポーランドの現地会場でギリギリまでその交渉に当たられていたお1人でしたね。

宮司 5月の勧告から、期間的にも非常に短く、その上、多様な文化文明を持つ世界21カ国の代表が相手です。3ページに示している構成資産、宗像大社沖津宮(沖ノ島-小屋島-御門柱-天狗岩)、宗像大社沖津宮遙拝所、宗像大社中津宮、宗像大社辺津宮、新原・奴山古墳群、この8つは文化的・歴史的に結びついた一体のものであり切り離せないものであることを、端的に、誰に対してもわかりやすく伝えなければなりませんでした。

森田 我々も実行委員会のメンバーとして参加している「宗像国際環境100人会議※」でのシンポジウムで、宮司は世界遺産登録の背景や経緯をご説明されています(演題「世界遺産から始まる新たなる挑戦!持続可能な環境、観光地域づくりを目指して」)。一括登録に向けて『SEA』と言うキーワード、コンセプトが非常にわかりやすく印象的でした。
※宗像国際環境100人会議:海をメインテーマに、世界の各分野で活躍するリーダーや学識経験者たちが集まり、地球環境問題について解決策を協議するフォーラム

宮司 「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」は『SEA』~Spiritual(霊性)、Ecology(生態学)、Animism(精霊信仰)~であると提議しました。霊性・精霊信仰は海外でも理解が高まっており、わかりやすいキーワードです。「宗像国際環境100人会議開始」は、地域、日本全国、そして世界の学生はじめ多世代の方が宗像に集結しています。宗像の海や環境を題材に、現状把握、各人の持つ情報・叡智を集め課題解決に取り組む内容は、次世代と共に学び育成する要素も含まれていることを伝えたんです。

森田 「宗像国際環境100人会議」の企画のひとつ、フィールドワーク・海の清掃活動に今回も参加しました。海に捨てられたプラスチックゴミは年々増えています。これは自然には還らないわけですから、非常に危機感を覚えました。人類共通の宝である世界遺産、それは環境そのものだと思うんです。宗像は人と自然が親しく、自然に心を寄せる活動も多いとお聞きします。宗像の市民団体が廃油を活用した手作り石けんに取り組んでいらして、十数年前に当社の技術者が石けんづくりの指導に伺ったというご縁も。そして宗像大社や沖津宮でも当社の製品を使用していただいています、ありがとうございます。

宮司 沖ノ島は古代祭祀の貴重な場であると同時に、絶滅危惧種とされるレッドデータブックにある動植物の宝庫でもあります。大島の沖津宮遙拝所の存在でおわかりのように、沖ノ島は入島が制限される神聖なエリアであり、生態系を壊さないためにも厳しい管理が必要なんです。世界遺産として登録されてよかった、はもちろんなのですが、これからなのです。観光目的で世界から多くの方が宗像に来られる、そういう状況を想定して環境保全をどうするのか。環境教育的観光という新たな仕組みの可能性など、日本と世界との付き合い、グローバルスタンダードをどう受け入れ対応していくのか。次なるステップヘのチャレンジなのです。

森田 10月には天皇・皇后両陛下の三大行幸啓の一つである「全国豊かな海づくり大会 」も宗像で開催されます。

宮司 神道の連続性は、自然・循環そのものにあるのです。神々が鎮まる海を守り、自然を敬う心を大事にして、後世、そして世界へその心を伝えていく貴重な機会として多くの方に関心をもっていただきたいですね。

森田 我々も、石けんづくりを通して、海を守り、きれいな水・環境を後世に残すためこれからも取り組みます。今日はお忙しい中ありがとうございました。

宗像大社「神宝館」(しんぽうかん)

金製指輪、三角縁神獣鏡など沖ノ島から出土の神宝をはじめ、古代における日本の対外交渉などを反映する貴重な神宝や文化財、国宝8万点が収蔵展示されています。

『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群

本資産は、「神宿る島」沖ノ島を崇拝する文化的伝統が、古代東アジアにおける活発な対外交流が進んだ時 期に発展し 、海上の安全を願う生きた伝統と明白に関連し今日まで継承されてきたことを物語る稀有な物証です。 沖ノ島には4 世紀から9 世紀の間の古代祭祀の変遷を示す考古遺跡が、ほぼ手つかずの状態で現代まで残されています。沖津宮、中津宮、辺津宮の古代祭祀遺跡を含むこれらの三つの場は、宗像大社という信仰の場として現在まで続き、18世紀までに成立した沖 津宮遥拝所は、上記で述べたような沖ノ島を遥拝する信仰の場です。そして、その信仰を担い育んだ宗像氏の存在を物語る資産が、新原・奴山古墳群なのです。

構成資産
宗像大社沖津宮(沖ノ島、小屋島、御門柱、天狗岩)、宗像大社沖津宮遥拝所、宗像大社中 津宮、宗像大社辺津宮(以上、福岡県宗像市)、新原・奴山古墳群(福岡県福津市)
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