Interview Corner

シャボン玉石けん株式会社 代表取締役社長 森田隼人×食品ジャーナリスト 安部 司さん×種と土と野菜の学校 石井 吉彦さん

「食と農と環境と」化学物質に頼らない未来の創り方

5月2日、ベストセラー『食品の裏側』著者の安部司先生主催の災害志縁チャリティー講演会が福岡市で開催されました。
当日は〈化学物質に頼らない未来の創り方〉をテーマに、無肥料栽培を長年提唱されている石井吉彦代表、
そして弊社社長の森田も講演させていただきました。その後、安部先生、石井代表にお話を伺いました。

種と土と野菜の学校 石井ピュアファーム代表

石井 吉彦さん(写真左)

名古屋市生まれ、45年間無肥料栽培に携わる。誰でも食べられる安心安全な究極野菜の作り方を広めるために農業研修やセミナーを開催。著書『まず種から始めよ』『究極野菜の誕生』など。

食品ジャーナリスト

安部 司さん(写真右)

福岡県出身、山口大学文理学部化学科卒。総合商社食品課退職後、無添加食品開発・推進、伝統食品や有機農産物の販売促進などに携わる。熊本県有機農業研究会JAS判定員、経済産業省水質第1種公害防止管理者。工業所有権食品製造特許4件取得。

覚悟を持って選択するということ

森田 安部先生、本日は講演の機会をいただきありがとうございました。石井代表、無肥料栽培そして種がいかに大切なのかなど貴重なお話をありがとうございました。
実はちょうど2年前の友の会だよりで安部先生との対談を掲載していました。その時私は「選択されないものは淘汰される」という言葉で締めくくっています。しかし先生の今日のお話では食品添加物の種類も増えている、淘汰されるどころか選択され続けていることを知り、まだまだ残念な状態ですね。

安部 今日の講演を聞き、化学物質のリスクに危機感を覚える人、会場の深刻な雰囲気は確かに伝わってきました。でも、「そんな深刻な暗〜い顔しなくていいよ、大丈夫!会場を一歩出ればぜ〜んぶ忘れる!(笑)」と会場の皆さんに声をかけた。結局そういうことだと思いますね。リスクとメリットを知った、ではどう行動するのか、何を選択するのか。覚悟を持って選択しているのか、ということなんですよ。

森田 物や情報があふれ、なんとなくとか、安さ・便利さという基準だけで選択する。それが、明日そして未来、つまり子どもたちの将来に影響する一歩なのに……。

安部 手に取ったらくるっと裏返す「手首の運動」で裏書きを見て選択する、台所にないものは使わない。リスクを回避したいならこの行動パターンを徹底してほしいと思いますね。

森田 裏書きといえば、石井代表の「野菜には裏書きがない」というお話。これも、どんどん情報発信していかなければならないと感じました。産直や有機野菜など、なんとなく知ったような、分かったような気になって選択をしている方が多いのではないでしょうか。

石井 今日も徹底して「種」のお話をしました。野菜がどんな土でどう作られているのかへの関心は高くなってきていると思います。でも、今、日本で使用されている種はほとんどが農薬と化学肥料を大量に使用している、つまり化学物質が入っています。そのことを知る人は希少で、種のことを言ってるのは現状、私くらいなんです。化学物質の種は使わない。無肥料栽培で種を自家採種する、その種で無肥料栽培をする、この循環で育つ野菜ならアレルギーの方でも食べることができます。

森田 農薬も肥料も使わない、堆肥も使わない、水もかけない。それでできるの?と疑ってかかる人が大半なのではないでしょうか。しかし、化学物質過敏症の方々が、無肥料栽培で作られた野菜で症状が改善された。その検証結果を聞き、とても明るい気持ちになりました。

自分の身は自分で守る、自分の家族は自分で守る

石井 化学物質過敏症のことは、コップに注がれる水のような例えをされますよね。水(化学物質)がコップ(体)に注がれる一方で減ることはないと。でも、自家採種した種で無肥料栽培された野菜は体内の化学物質をデトックスするという検証結果を得ました。これは、108人の化学物質過敏症やアレルギー患者さんに協力いただき、最長で2年、うちの野菜を食べ続けてもらったんです。すると100人が症状改善という結果でした。8人は外食をされていた、お仕事などの都合で難しい方もいらっしゃいますよね。でも、この結果は農学博士からの検証も得ましたし、本当に食事療法ってできるんだとわかりました。

森田 石井代表の言われる、「毎日、無肥料栽培で作られた野菜を食べるのは無理でも、週に1、2回でもいいから体に良いものを食べてデトックスする」という考え方と行動。そして安部先生の言われる「手首の運動」。まずは何か行動に移すということが大事ですよね。

安部 ただ、石井代表が講演で話していた種の世界、遺伝子組み換えに関しては規制があってないような状況です。特に日本は、世界的に見ても表示義務がゆるいんです。アメリカでは禁止されているトランス脂肪酸でさえ日本では表示義務はなく、メーカーさんの意思にいまだ委ねられていますね。
(※マーガリンなどに含まれる脂肪酸の一種。冠動脈性心疾患のリスクが高くなるとされている)

石井 種が遺伝子組み換えだと無肥料栽培では育ちません。だから、種が大事なんです。今日のわれわれの講演内容でいえば、どんな原料でどう作られた石けんを使うのか、どんな種でどう育った野菜を食べるのか、どんな素材でどう調理された料理を食卓に並べるのか。それを見極める目と選択力と行動力。自分の身は自分で守り、そして家族も自分で守るということですね。

持続可能な社会と未来のための選択と行動

森田 やはり、正しい情報を知ろうとする姿勢と、一人ひとりの行動がこれからの社会や未来をつくる鍵ですね。

石井 「無肥料栽培? 信じられないなら、ぜひいつでもうちの畑を見に来てください」とお伝えしています。自分で行動し、確証を持って選択するというのがこれからますます大事になります。それと、私一人の力では日本全国にこの野菜を供給することは不可能です。なので、無肥料栽培に取り組む仲間を増やしていきたいですね。家庭菜園でもできますから各ご家庭でも気軽に始めてほしいです。

安部 海外で禁止されている添加物入りの国産加工食品を輸出すれば、輸入規制にひっかかる。だから、輸入規制にかからない製品に作り変えて海外では販売される、日本では添加物だらけの製品のまま。購入側が「きちんと表示をするまでは購入しない」姿勢になれば、きっと変わっていくはずです。メーカーにとって選択されないことこそが恐れる事態ですからね。

森田 安部先生、石井代表。本日は貴重な機会をつくっていただきありがとうございました。安心安全な製品づくり、そして正しい情報を知り行動につながる企画をご一緒したいと思います。これからもよろしくお願いいたします。