Interview Corner

シャボン玉石けん株式会社 代表取締役社長 森田隼人×株式会社まるおか代表取締役社長 丸岡 守さん

われわれには本物を次世代に伝える使命がある

株式会社まるおか代表取締役社長

丸岡 守さん

1944年群馬県高崎市出身。同市に店舗をおく「おいしさと健康を追求する小さなスーパーマーケットまるおか」代表。取扱商品は約5千品目、そのすべてを自分たちの目と舌で感じた「おいしい」ものだけを販売。1998年優良経営食料品小売店として最高賞「農林水産大臣賞」受賞。

比較検討することで本物に出会える

森田 丸岡社長には今年の友の会だより新年号で「医食同源」「一人ひとりの判断と選択の重要性」をお話いただき、今日は弊社の工場を見学していただきました。いかがだったでしょうか。

丸岡 釜炊き職人をはじめ手間暇かけた丁寧で循環型のものづくりに徹底していらっしゃいますね。見学しながら、食料廃棄について、そして大量生産・大量広告・大量消費構造は問題だらけで、本気で変えていかなければと改めて思いました。

森田 日本では年間約2700万トン(食料消費全体の約3割以上)、世界では約13億トンの食料が廃棄されています。にもかかわらず、世界の飢餓人口は約8億人にものぼり、日本で目にするコマーシャルはサプリメントや薬の話題ばかり。体にいいとかいう商品や薬が登場するのに一向に病人が減る傾向にない奇妙な現象ですよね。

丸岡 1984年に日本は1億2千万人時代を迎えました。当時の医療費は約15兆円、それが2016年には約42兆円に激増し、がんで亡くなる方も約2倍。今やアレルギー疾患は約2人に1人。とんでもない状況で、このままじゃいけない。国が滅びます。

森田 数字で比較すると、当たり前という思い込みや思考停止状態に刺激を与え、気づきにつながりますね。

丸岡 比べると違いがわかります。まるおかおすすめ商品を「だまされたと思って食べてみてください」と半ば強引に店頭でお客さまに声をかけています。実際に食べ比べることが、食べ物を安さだけで選択する以外の方法、本物に気づく機会になると思っているからなんです。

森田 私も先日スーパーまるおかの食材を使った料理をいただきました、絶品でおいしかったです。あの味を知ってしまうと、スーパーまるおかのファンになる気持ちがわかりました。

医食同源で心も体も健康に

丸岡 食べ物は、体だけでなく心の健康にもつながります。自分たちが扱っている商品のおいしさや確かさは、自分たちの誇りや自信につながる、社員たちの様子を見てそう感じます。

森田 弊社だと工場見学が、それにあたるようですね。年間1万人を超える見学者に社員が対応させていただきます。社員は、見学者からの反応で自分たちがつくる製品に誇りを感じています。それは私も同じなんです。

丸岡 製品の最終チェックが素手でしたね、合成洗剤メーカーでは考えられないことかと。

森田 石けんも体に直接触れるものなので食べ物と同じだと考えています。ところで、医食同源、日本の伝統食にこだわっておられる丸岡社長から、日頃の私たちの食事で、これだけは外さないでほしいと思っておられる1品は何でしょうか。

  • ケン化法

    ケン化法の場合、機械まかせで石けんはできません。釜炊き職人が目で見る、匂いをかぐ、音を聞く、指で触る、舐めて出来具合を確認し丁寧な調整をすることで肌にやさしい保湿成分を含む石けんに。

  • 型打ちライン

    型落ちしたものは再度石けんの素に練り込まれ、写真のように固形石けんに成形される直前の石けんバーとなりラインに戻るので原料をムダにしません。また、作業負担の軽減、品質に影響する調湿対策としてライン内も木の床にしています。

「小さな子だから言ってもわからないだろう」と思い込んで説明しないのはナンセンス

丸岡 やっぱり味噌汁ですね。味噌汁を飲んでれば、悪い人も急に怒る人も減るんじゃないかと思ってるんです。ただ、インスタントの味噌汁なんて、ほんとに悲しいですよね。

森田 寝る前にいりこでも昆布でも水に浸しておけば翌朝にはダシはできます。そんな考えるほど手間ではないのに。

丸岡 そう、簡単なんです。食べ物の栄養が低下しているとか簡単だからとかでサプリメントに走るのも困ったものです。栄養の低下なんて、ちゃんと選ばないからですよ。本物を選べばいいんです、人間は自然の物からしか栄養をいただけないんですから。

森田 合成洗剤を選ぶ理由の一つに利便性があります。確かに石けんはひと手間かかります。しかし、人体や環境に与える影響を考えると、そのひと手間ってなんてことないと思うんです。

丸岡 便利さ追求で簡単に簡単に。簡単なことが、どれだけ重要なんでしょうか。「食べられればいいや」簡単なら。ですが、食べ物が自分の体と心をつくるんです、便利さ簡単さを優先するものではないと思います。そして、そのことを子どもたちに伝える使命がわれわれにはあるんです。

森田 料理でも小さい頃からどんどんさせたほうがいい、でも大人がそれをさせない。これは料理に限らず、暮らしの中の全般にいえそうですね。毎日の、なにげない暮らしの中で教えたり、伝えるべき大事なものがあるってことですよね。

丸岡 そうです。それと、本物を誰に対してもきちんと繰り返し伝えることも大事です。三つ子の魂百まで、なんです。今、「まだ小さいからわかるはずがないから教えない」というのをよく見聞きしますが、間違いです。幼児教育専門の教授が子どもにどう接しているのか見学に行ったことがあります。赤ちゃんにも、きちんと説明していました。

森田 そういった気づきを、しっかり声をあげて社会に提案し続けたいですね。

丸岡 私のような小さな取り組みでも、それが始まりで変えていけるんじゃないかと思っています。大きな流れの中の、ほんの小さな逆流なのかもしれない。でも、それをどんどん大きくして本流にしたい。ぜひ協力してほしいと思います。

森田 こちらこそ、これからもぜひよろしくお願いいたします。今日は本当にありがとうございました。